女性にとって人生の大きなイベントである、出産。日本で認められている出産スタイルは様々なものがあり、近年では納得のいくスタイルを自分で選択する方も増えています。一方で妊婦や胎児の状態や安全を考慮し、医師の判断で出産スタイルを決めることもあります。希望する出産スタイルがある場合には、事前に対応できる病院を確認しておき、医師と相談しておくようにしましょう。
さまざまな出産スタイル
分娩の種類には、産道を通って赤ちゃんが生まれる「経腟分娩」と、おなかを切開して赤ちゃんを取り出す「帝王切開」の2種類があります。ここでは、経腟分娩の中からいくつか代表的な出産スタイルをご紹介します。
無痛分娩(和痛分娩)
麻酔を使用して分娩時のさまざまな痛みを緩和させる方法です。分娩時の痛みがまったくなくなるわけではないため、和痛分娩と呼ばれることもあります。前回の出産が難産だった方や心臓疾患のある方、痛みに強い恐怖心を持つ方等にとって効果的な方法となります。
計画分娩で無痛分娩とする場合と、自然陣発時にあわせて施行する場合があります。
麻酔は非常に微量であり、胎児への影響はありません。既往症や体質などへの配慮が事前に必要となるため、事前に医師とよく相談が必要となります。
誘発分娩
出産予定日を過ぎた場合や妊娠の継続が母体や胎児に影響が及ぶ場合等に、医師の判断のもと行われる方法です。大きく分けて、陣痛誘発剤などの薬剤を使用する方法と、腟錠や器具を使って子宮口を開く方法があり、いずれか一方または併用して出産を促します。
(参考 陣痛が弱い微弱陣痛で使用する場合、陣痛促進剤といい陣痛誘発剤とは区別しています。)
フリースタイル分娩
「こんなお産にしたい」という、妊婦自身の意思を尊重した出産スタイルです。うつ伏せや横向き、両手両ひざをついた姿勢や座位、立て膝など、自分にとって負担が少なく楽だと感じられる姿勢を選んで出産します。リラックスして出産に臨めるため、必要以上の緊張を防ぎスムーズな分娩が期待できます。
ただし母体や胎児の状態によっては選択することができないこともあります。多胎妊娠の場合や合併症のある場合、妊娠前のBMIが25以上の場合にはフリースタイル出産ができない場合が多いです。また産院によっても対応は異なります。
水中分娩
約37度の人肌程度の温水の中で赤ちゃんを出産する方法です。温水は心身をリラックスさせ、陣痛を和らげる効果があます。また水中では浮力の影響で、姿勢を楽に変えることも可能で母子への負担が少ないと言われています。
ただし水中分娩に対応している産院は限られているため、事前に確認をするようにしましょう。
LDR
陣痛(Labor)、分娩(Delivery)、分娩後の回復(Recovery)の流れを1つの部屋で行うスタイルです。陣痛室から分娩室への移動がいらないため、お母さんの負担が抑えられます。家族も立ち合いがしやすいというメリットもあります。
希望の出産スタイルと病院の選び方
自分の望む出産スタイルが見つかったら、病院や産院の分娩予約時に相談してみましょう。病院や助産師によっては対応できないものもあるため、あらかじめ確認することが大切です。
また対応できる病院であっても、母体や赤ちゃんにリスクが伴うと判断された場合には、希望通りの分娩ができるとは限りません。あらかじめ医師や助産師と相談しておくようにしましょう。
分娩や出産スタイルのイメージを具体的に思い描いて計画を立てることで、不安や恐怖心に対しての心の準備につながります。万全の準備をして、理想の出産に臨んでください。