女性の身体は、年齢に伴っていくつかの段階を経て変化していきます。初潮から妊娠・出産、閉経に至るまで、女性ならではの身体の仕組みをコントロールするのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれるふたつのホルモンです。
エストロゲン<卵胞ホルモン>
エストロゲンは女性らしさをつくるホルモンです。成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育、維持させる働きをもっています。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあります。
その分泌量は毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、成熟期間がおよそ20年間ほど続きます。45歳頃になると、卵巣機能が低下し分泌量は減少していきます。月経の周期も不規則になり、50歳頃には閉経を迎えます。この閉経前後の10年間が「更年期」であり、ホルモンバランスが急激に崩れによって心と身体に不快な症状が起こりがちになります。
プロゲステロン<黄体ホルモン>
プロゲストテロンは妊娠準備のためのホルモンと言われています。排卵直後から分泌量が増え、子宮内膜をやわらかくして妊娠の準備を整えます。妊娠が起これば、分泌はそのまま続き、出産まで子宮内膜を維持します。一方妊娠が起こらなかった場合には、分泌量は約2週間で減少していき、子宮内膜が剥がれ落ちます。これが月経です。
プロゲステロンはこの他に、乳腺の発達や、利尿作用に関わります。また、身体の体温を上げる働きがあるため、基礎体温を測ることで、自分の体の状態を確認することができます。
女性のライフステージとホルモンの関係
2つのホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」は、女性の健康的な毎日をサポートする重要な役割を果たしています。また一方で、ホルモンのちょっとしたバランスの乱れが様々な身体の不調の原因につながることもあります。
2種類の女性ホルモンは年齢によって分泌量が変化し、特にエストロゲンは女性の身体への影響が大きいと言われています。思春期になり月経が始まると、月経不順や月経困難症といった月経に関するトラブルが起こる場合があります。性成熟期になると、子宮内膜症や子宮筋腫といった女性特有の疾患があらわれることがあります。卵巣の働きが急激に低下し、エストロゲンの分泌が減少する更年期には「更年期障害」とよばれる不調で悩みを抱える女性も少なくありません。さらに、更年期を過ぎて老年期を迎えると、エストロゲンで守られていた肝臓、血管、骨、皮ふなどの器官でのトラブルや病気のリスクが高まります。
月経周期を把握することで体調管理を
女性の毎日の健康に大きく影響する女性ホルモン。ホルモンの乱れを把握するためには、自身の月経周期を知ることが重要です。
月経周期が分からない場合は、基礎体温を記録してみることをおすすめします。基礎体温とは、最小限のエネルギーしか消費していない安静な状態の時の体温のことを言います。基礎体温を計測するためには、朝起きたらすぐにベッドや布団の中で動かず、舌下で計測してください。毎朝、同じ時間に計測することでより正確な記録ができます。毎日基礎体温を記録して、グラフにすることで月経周期やホルモンの状態、排卵の有無などに気づくことができます。また、基礎体温と同時に体や心の状態も合わせて記録しておくと、女性ホルモンの影響がより分かるようになり健康管理に役立つでしょう。