子宮に発生するがんは場所により2種類に分けられます。
子宮頸がん
子宮頸部に生じるがんです。子宮にできるがんの7割を占め、20代~40代の女性に多いがんです。不正出血を生じることもありますが、自覚症状がないこともあります。
原因のほとんどがHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染です。HPVは性交渉により子宮頸部に感染します。HPV感染することは稀なことではなく、性交経験のある女性の多くが一度は感染するといわれています。HPVに感染しても自己免疫により自然に排除されますが、1割の人はHPVに長期感染します。その1割のうちの一部の人が「頸部異形成」という前がん病変を経て、子宮頸がんに進行します。異形成の期間は数年以上かかります。
当院では子宮頸がんワクチンの接種も行っております。詳しくはこちらをご覧ください。
子宮体がん
子宮体部に生じるがんです。子宮内膜という組織から発生するもので、子宮内膜がんとも呼ばれ、50代以降の女性に発症しやすいがんです。自覚症状としては不正出血があります。卵巣から出るホルモンのうち、プロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されず、エストロゲン(卵胞ホルモン)のみが分泌される状態が続くと、「子宮内膜増殖症」という段階を経て子宮体がんに進行しやすくなります。プロゲステロンは排卵後の卵巣や、妊娠中の胎盤からも分泌されますし、ピルにも含まれています。そのため、未経産、無排卵周期、多嚢胞性卵巣症候群、エストロゲン単独によるホルモン補充療法を受けている方はリスクが高いとされます。また副腎皮質からでるテストステロンというホルモンが脂肪でエストロゲンに変換されるため、肥満の方もリスクが高いとされます。
検査方法は、細胞診(ブラシでなでるような検査です)を行い、その結果次第で必要時に組織診(コルポスコピー検査)やHPV検査などの精密検査を行います。治療が必要となった場合はご紹介いたします。子宮頸がん、子宮体がん検診は1年に1回をお勧めします。同時にエコー検査で子宮筋腫や卵巣の腫れがないかもチェックすると良いでしょう。
当クリニックは江東区の子宮頸がん検診実施医療機関です
江東区に在住の20歳以上の女性で、偶数年齢となる方を対象に、子宮頸がん検診を実施しています。
区から郵送される受診券をご持参の上、有効期限内にご来院ください。
※江東区の子宮頸がん検診の際は、8月下旬に届く受診券(シール)をお持ちください。患者さまのご負担金額は600円となります。ただし検診で精密検査が必要となった際には保険診療(有料)となります。